吉田義人

7人制ラグビー専門チーム「サムライセブン」9年の軌跡を追う

7人制ラグビー専門チーム「サムライセブン」9年の軌跡を追う

吉田義人が創設し、2014年に活動をスタートした7人制ラグビー専門チーム「サムライセブン」の2022年の活動が終了した。

創設当時、明治大学ラグビー部の監督を退任したばかりだったこともあり、吉田の去就は注目されていた。その吉田が選んだのは、“7人制”チームの創設、代表・監督への就任という道だった。

トライアウトを経て、ラグビー未経験者を含むメンバーで船出したチームは、この夏、非公式ながら日本代表候補チームを破るまでに強くなった。

活動10年目を迎えるにあたり、吉田が抱く7人制ラグビー、サムライセブンへの想いや未来とは。

【1】2022年シーズンを振り返って

―2022年を振り返って、今シーズンのサムライセブンはいかがでしたか。

新型コロナウイルスの流行した2020年からの2年間、7人制はほとんどの大会が中止となり、試合の機会すらない2年間でした。今年はようやく大会が再開し、年間を通じて選手たちがプレーできたことはとてもよかったと思います。

(2022年7月 FUJISAN SEVENS優勝時)

―試合のない中、どのように過ごしてこられたのでしょうか。

選手たちにとってはとても苦しい時期だったと思います。目標がない中、活動を継続することはとても難しかったです。

ただ、選手たちに言い続けたのは「敵は自分の中にいる」ということでした。コロナ対策をしながら、練習を継続してきたということそのものが、実はとても重要なことだったと思っています。選手たちが自分自身にベクトルを向け、自分に向き合う時間ができたことは、結果としてよかったのかもしれません。

―その期間を経て、チームに変化はありましたか。

チームや組織が崩れていく時は「内側」に問題が起きることが多いです。チームにとっての「内側」である選手が、自分自身に目を向けて活動をしてきたことで、チームがより強化されたのではないかと思っています。

苦しい時期を経てきた成果として、2022年はシーズン全勝で終えることができました。夏には合宿中の日本代表スコッドからオファーを受け、練習試合が実現しただけでなく、勝つこともできました。これは選手達にとっては非常に大きな自信になったと思います。

(2022年8月 日本代表スコッドとの練習試合後)

―今シーズン全勝、代表候補も撃破、来年がさらに楽しみですね。

もちろん、最初から強いチームだったわけはなく、チーム創設当初からセブンズの“世界基準”をもとにチームづくりをしてきました。その基準の中、選手達が地道に練習を積み重ねてきた結果が、ようやく形になってきています。

コロナ渦を経てよりいっそう強くなったサムライセブンだが、そもそも「7人制専門ラグビーチーム」というのは、創設当初はもちろん、現在でも、日本にはほとんどないと言ってよい状況である。吉田が、あえて専門チームをつくったその背景に改めて迫りたい。

〜【2】サムライセブンを振り返って に続く〜